転職ノウハウ | 22年12月15日

【2022年10月改正】働き損をしないために!扶養範囲内に押さえるための年収はいくら?

「扶養内で働きたいけど、なんだかややこしくて難しそう…」「損せず働きたいけど、結局扶養内ってどれぐらい働けるのかよくわからない」そんな方も多いのではないでしょうか。ここでは扶養内勤務とは何なのか、また扶養内で働ける「年収額」がいくらなのか、2022年10月の改正にも触れながら見ていきます。

1、「扶養範囲内で働く」とは?
扶養範囲内で働くとは、「扶養控除」が受けられる範囲の中で働くという意味です。


■扶養控除とは
納税者本人に扶養親族がいる場合に受けられる所得控除のことです。納税者が一定の金額の所得控除を受けることができます。例えば、妻が扶養内で働く場合、その夫は所得控除を受けることができます


■扶養控除の種類
扶養控除は「社会保険上の扶養」と「税法上の扶養」の2つに分けられます。

<社会保険上の扶養>
健康保険や厚生年金などに関連する扶養控除のことです。
家計を主に支える方の保険に入れます。(勤め先の健康保険や、厚生年金の「第3号被保険者」になれます。)つまり、扶養内で働く方は、健康保険料などの社会保険料を納める必要が無くなります。

<税法上の扶養>
配偶者控除・配偶者特別控除に関連する扶養控除のことです。
家計を主に支える納税者が、住民税や所得税の控除を受けられます。つまり、納税者が納める税金の金額が抑えられるということです。

【POINT】配偶者控除と配偶者特別控除とは?
扶養をうける方の年収が103万円以下までは配偶者控除、103万円を超えると配偶者特別控除を受けられます。

配偶者控除:納税者本人の合計所得金額に応じて控除額が変わる(~103万円)
配偶者特別控除:控除対象となる配偶者自身の合計所得額で控除額が変わる(103万円超~201.6万円)


■年収の壁とは?
扶養内に収めるためには、それぞれ年収額に上限があります。その年収上限のことを、通称「〇〇万円の壁」と呼びます。また、「社会保険上の扶養」と「税法上の扶養」で年収の対象となる範囲が違うため注意が必要です。

<社会保険上の扶養 年収の壁>
年収106万円の壁、年収130万円の壁

年収の計算方法は、106万円の壁は1社での収入。130万円の壁は1社に限らず掛け持ちなどすべての収入合計で判定されます。また、いずれも残業や深夜、休日手当だけでなく、交通費手当なども扶養判定の年収に含まれます

<税法上の扶養 年収の壁>
年収100万円の壁、年収103万円の壁、年収150万円の壁

年収の計算方法は、パートの掛け持ちがあればその合計の収入で、さらに残業や深夜手当、休日出勤手当も含めた額になります。ただし交通費手当などは非課税のため、支給されている場合は判定年収から除きます
2、年収の壁
では、それぞれの年収の壁について詳細を見てみましょう。

■100万円の壁:住民税がかかる
100万の壁は、扶養内で働きたい人に住民税がかかり始める年収を指します。
ただし地方自治体によって制限税率の範囲内で多少金額の違いがあるため、実際は年収93万~100万円を超えることで発生しはじめます。

【POINT】住民税とは?
住民税には「所得割」「均等割」の2つがあり、この合計で金額が決まります。
均等割は前年の所得金額の多少にかかわらず、ある一定の所得がある方全員が均等に負担する税です。所得金額にかかわらず定額で課税されます。
一方、所得割は前年1年間の個人の所得金額に応じて一律10%(市町村民税6%・道府県民税4%)課税されます。均等割とは異なり、所得金額と所得控除額を基に計算されています。


■103万円の壁:所得税がかかる
103万円の壁は扶養内で働きたい人に所得税がかかり始める年収を指します。103万円を超えた時点から、超えた分に対して所得税がかかります。


■106万円の壁:社会保険の加入 ※2022年10月拡大
106万円の壁は、扶養内で働きたい人が下記の条件を満たすと勤務先の社会保険への加入義務が発生します。

①所定労働時間が週20時間以上(残業は除く)
②雇用期間が2カ月以上見込まれる
③1カ月の賃金が8.8万円(年約106万円)を超す(手当、賞与は除く)
④学生ではない(一部例外あり)
⑤従業員数が101人以上の企業

【POINT】2022年10月の改正とは?
「106万円の壁」はこれまで、雇用期間が「1年以上」だったのが、10月以降「2ヵ月以上」に短縮されました。
従業員数についても「501人以上」の会社が対象でしたが、「101人以上」の企業に広がりました。
この改正によって、これまで社会保険の加入対象から外れていた一部パートやアルバイトの方も対象となったため勤務先の社会保険に加入する人が増えました。


■130万円の壁:すべての人が社会保険に加入
106万円の壁に該当しなかった人も年収が130万円を超えると、社会保険の扶養から外れます

【POINT】社会保険の加入とは?
健康保険は、住んでいる市区町村の国民健康保険か、パート先の健康保険(労働時間・勤務日数が正社員の4分の3以上に該当する場合)に加入し、自ら保険料の支払いを求められます。
年金は、自ら国民年金保険料を支払うか、パート先の厚生年金への加入をすることになります。

社会保険に加入すると、保険料がパート収入から天引きされ、手取り収入は減ります。
ただし、健康保険や厚生年金に自ら加入することで、病気やケガで仕事に就くことができなくなってしまった時の手当が貰えたり、将来もらえる年金が増えるなどのメリットもあります。


■150万円の壁:配偶者特別控除の満額上限
配偶者控除も配偶者特別控除も扶養をうける方の年収150万円までは納税者の控除額は変わらず、税金控除を満額受けられます。
150万円を超えたところから段階的に納税者の控除額が減り、201.6万円を超えると控除額は0になります。
3、まとめ
難しい言葉は多いですが年収100万円・103万円・106万円・130万円・150万円と、ボーダーとなる”壁”を守れば扶養内とで働くことは可能です。また、扶養内希望の方からよく聞くご要望「社会保険に加入せずに働ける方法」は、社会保険上の扶養(106万円・130万円の壁)ということが分かりました。

自分自身だけで管理が難しい場合は、アルバイトやパート先に扶養内勤務と年収の壁を伝えておくのも大切です。損なく希望の範囲で働けるよう、あなたにぴったりの収入の目安を見つけてくださいね!


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