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3月14日
アパレル業界のMD(マーチャンダイザー)の仕事内容は?未経験も転職可能?
マーチャンダイザー(MD)は、市場調査をもとに商品企画や開発、販売戦略を立案する専門職です。ブランドの売り上げや企業イメージを左右する重要な役割を担い、「ファッション商品の総合プロデューサー」とも称されます。特にアパレル業界では、消費者ニーズに合った商品構成や販売戦略を適切に計画し、競争力のあるラインナップを展開するスキルが求められます。この記事では、マーチャンダイザーの具体的な業務内容や求められるスキル、キャリアパスについて詳しく解説します。
1、マーチャンダイザー(MD)とは
まずマーチャンダイジング (マーチャンダイズ)とは、「商品計画・商品化計画」の意味です。お客様に商品を買っていただくために、商品の企画・開発や調達、商品構成の決定、販売方法やサービスの立案、価格の設定などを、戦略的に行なう活動のことです。このような戦略を立てて実行する人を、マーチャンダイザー(MD)と呼びます。
マーチャンダイザーは、商品企画・商品開発から販売戦略の立案、価格設定、予算管理までを担当する専門職です。市場調査を基に商品ラインナップを考え、消費者のニーズに合った商品化計画を立案し、売上の最大化を目指します。企業によっては、バイヤーやブランド・マネジャーと呼ばれることもあり、流通や店舗運営ともそれぞれ密接に関わります。
マーチャンダイザーの役割としては、販売計画を立案し、売上予算の達成を実現するための戦略を策定することです。そのためには、商品の売れ筋を見極め、在庫管理やプロモーション施策を適切に行い、消費者の購買意欲を高める販売促進が必要となります。さらに、デザイナーやパタンナー、営業担当など多くの関係者と連携しながら、全体のバランスを考慮し、ブランドの方向性を決定するリーダー的な存在です。市場の動向を素早くキャッチし、流行や売れ行きを分析しながら、次のシーズンに向けた計画を立てることが求められます。加えて、店舗の運営や販売状況を理解することが不可欠であり、現場経験がマーチャンダイザーとしてのキャリアの形成に大きく影響します。責任のある仕事ではありますが、戦略次第でブランドの成功を左右できる点が大きなやりがいです。
2、マーチャンダイザーの仕事内容
シーズン毎に下記の流れで業務を行います。
【1】市場調査
国内外の市場や競合やトレンド情報を分析し、社内の関連部署と連携しながら次のシーズンの動向を把握します。また、自社の今までの売り上げ分析などを行い売れる商品を予測します。調査は売り場や街頭、コレクション、素材展などで実施します。アパレル業界では市場調査が当たり前とされ、マーチャンダイザーは常にトレンドや需要を意識しながら消費者や競合の動向をチェックします。他社のプロモーションや販売戦略のリサーチも欠かせません。
【2】商品企画
リサーチした情報を元に、生産の企画を行います。デザイナーやパタンナーとともに、シーズンテーマやコンセプトを決定し、具体的な商品イメージを固めます。デザイナーにデザイン画の作成を依頼し、パタンナーにそのデザイン画を元にサンプルを作成してもらいます。また、シーズン別の販売計画を見ながら生産数を検討し、マーチャンダイザーが具体的な事業計画を立案します。さらに、展示会の準備も並行して進めます。
【3】生産計画
商品企画をもとに商品計画を立案し、生産管理やバイヤーと連携して原材料の選定や工場手配を行います。商品化が決定すると、品質やコストを考慮しながら資材の仕入れを進め、マーチャンダイザーが生産管理を担当します。
【4】販売計画
マーチャンダイザーは広報(プレス)と連携し、広告戦略や販売戦略を立案・実行することで、商品の売上向上を図ります。販売開始後も営業や販売スタッフと調整し、売上目標の達成を目指します。さらに、社内外で販促活動を行い、PR・広告宣伝の方法を決定。店舗フェアやECキャンペーンの企画にも関わります。販売後も動向や数字を分析し、販売指導や在庫管理を行い、必要に応じてセールや値下げを判断します。マーチャンダイザーは商品企画から販売までを計画・管理し、迅速な意思決定を行うブランドの司令塔としての役割を担っています。

3、マーチャンダイザーになるルート
マーチャンダイザーは幅広いスキルが必要となるため、未経験から転職するのは難しい職種です。ここでは、マーチャンダイザーになるための代表的なルートをご紹介します。
アパレル販売員から部署異動する
販売スタッフとしての売上実績や、店長やマネージャーとしての経験を積むことで、マーチャンダイザーへの異動のチャンスが広がります。現場での実務経験は、市場分析や販売戦略にも役立つため、まずは販売スタッフとして経験を積むことがキャリアアップへの近道となります。このような経路を通じて、マーチャンダイザーとしてのスキルを磨くことが可能です。
MDアシスタントとして就職・転職する
MDアシスタントとしての求人に応募し、就職や転職を通じてマーチャンダイザーのサポート役として経験を積むことができます。この職種では、事務作業をはじめとする業務を通じてスキルを高め、最終的にはマーチャンダイザーとしての専門的な能力を身につけることが可能です。MDアシスタントの求人には、アパレル業界での販売スタッフ経験が求められる企業が多いため、販売スタッフとしての経験を積んでおくと有利です。また、PCスキルが必須となる場合も多いため、基本的なPCスキルを事前に習得しておくことで、転職活動をより有利に進めることができます。
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4、マーチャンダイザーに求められるスキル
マーケティングスキル
アパレル業界では、トレンドの変化が早いため、常に最新の情報を把握し、理論的な思考で市場調査とデータ分析を行い、消費者が求める商品を先読みするスキルが重要です。ユーザーのニーズを満たす商品を企画するためのマーケティング知識が不可欠です。市場の状況を把握し、調査から得た情報や、企画会議で出たアイデアをフレームワークに基づいて整理・可視化することで、より効果的に消費者の要求に応えることができます。売れる商品を予測し、業界の動向に迅速に対応する能力が求められます。
数値分析能力
売り上げなどの数値を詳細に分析し、そのデータを情報として売れる商品を予測することが求められます。また、スピード感を持って事務処理を進める能力も非常に重要です。さらに、数値から得た情報をもとに問題を整理し、ターゲットとなる顧客を明確にする能力も求められます。このスキルは、シーズンごとのテーマ決定やコンセプト設定にも欠かせないため、問題分析能力はマーチャンダイザーにとって必須の能力と言えるでしょう。
コミュニケーション能力
マーチャンダイザーは、社内外で多岐にわたる関係者と連携を取りながら業務を進めます。社内では、デザイナー、パタンナー、生産管理、営業、広報などとの協力が不可欠です。さらに、社外では仕入れ先や製造工場などとの円滑なコミュニケーションが求められます。これにより、マーチャンダイザーには高いコミュニケーション能力と「人に伝える力」が必要です。具体的には、ファッションデザイナーやパタンナー、プロダクトマネージャー(生産管理)、営業担当者、PR担当者、経理・財務担当者など、さまざまな部署との連携が重要です。また、社外では仕入れ先や販売先、情報企画会社との接点も多く、これらの関係者と効果的に情報を共有する能力が求められます。そのため、マーチャンダイザーは広い視野を持ち、適切なタイミングで的確に意見を伝える能力が不可欠です。
デザイナーとは?:アパレル業界のデザイナーの仕事内容とは?未経験から転職は可能?
広報とは?:広報・プレスの具体的な仕事内容とは?必要な資格はある?
意思決定・決断力
シーズンごとに商品ラインナップを構成する際、素材や色柄、デザインなどの選定が不可欠です。サンプルの選定や品質管理、予算設定など、商品展開に関する意思決定力・決断力も非常に重要な要素となります。さらに、商品ラインナップの企画立案には、モノづくりとマーケティングの両方に関する深い知識と理論が必要です。生産や流通準備、販売後の消費者反応調査まで行うことで、マーチャンダイザーならではの幅広い知識をもって決断を行う必要があります。
管理能力
商品が消費者の手に届くまでのさまざまな工程に関わるため、スケジュール管理や予算管理の能力が欠かせません。これらは会社の売り上げに直結する重要な仕事であるため、業務における管理能力はもちろん、自己管理能力も必須のスキルです。さらに、マーチャンダイザーは幅広い業務を担当するため、複数の関係者や取引先と連携することが求められるため統率力が必要になります。日常的なコミュニケーションから、信頼性と関係性を高めることが求められます。
幅広い知識
マーチャンダイザーは、ファッションビジネスの全体像を理解し、商品企画・生産・プロモーション・流通といったアパレルメーカーの業務全般に精通していることが求められます。またファッション業界で働く限り、ファッション用語やトレンドの知識、ファッションセンスも必須です。外資系のブランドであれば、語学力があると活躍する場が広がります。
5、マーチャンダイザーに有利な資格
マーチャンダイザーとして活躍するためには、市場分析力やデータ活用能力、交渉スキルなどが求められますが、特定の資格を取得することで、業務に役立つ知識を体系的に学び、転職やキャリアアップを有利に進めることができます。
販売士(リテールマーケティング)検定
流通や販売に関する専門知識を身につけることができ、小売業界でのキャリアアップに有利な資格です。実際の売れ行きデータを基にした戦略立案や、在庫管理スキルの向上に役立ちます。
ファッションビジネス能力検定
ファッション業界全体の知識やビジネススキルを学べる資格。1級〜3級があり、特に1級はマーチャンダイザーとしての専門知識が問われるため、キャリアアップに有利です。マーチャンダイザーに求められる市場分析力や、メーカーや百貨店との交渉に必要なスキルを習得できます。
色彩検定
カラーコーディネートや配色の知識を学べる資格で、アパレル業界での活用度が高い資格です。マーチャンダイザーは「売れる色」を見極める能力が重要なため、商品の色選びに役立つ知識を得られます。
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6、マーチャンダイザーのやりがいは?
マーチャンダイザーは管轄する範囲が広く、トレンド分析から商品開発、価格設定、プロモーション戦略まで多岐にわたる業務を行うため、大変なことも多いですが、それ以上に大きなやりがいを得られる仕事です。ここでは、マーチャンダイザーとしての成功を実感できる瞬間や仕事の魅力について詳しく解説します。
企画した商品が売れる喜びを実感
マーチャンダイザーの最も大きなやりがいのひとつは、自身が企画した商品がヒットし、多くの人に愛されることです。市場の可能性を見極め、綿密なトレンドリサーチを基に考案した商品が百貨店やブランドの店で販売され、消費者の手に渡った瞬間は、何にも代えがたい達成感を味わえます。さらに、SNSでの投稿や実際に街で着用している人を見かけた時、「自分の予想が当たった」「頑張った結果が形になった」と実感できるでしょう。これは、マーチャンダイザーという職業ならではの魅力であり、次のプロジェクトへの大きなモチベーションにつながります。
常に最新トレンドを追い求められる
ファッション業界では、トレンドの変化が激しく、マーチャンダイザーは常に最新の流行をキャッチし続ける必要があります。次シーズンの流行色をどのように活用するか、どのブランドが注目されているかなどを研究し、商品企画に落とし込んでいきます。また、デザインだけでなく、消費者の購買心理や市場の条件、売上の数量を考慮しながら企画を行うため、幅広い視点でファッションに関わることができます。ファッションが好きな人にとっては、日々の業務そのものが楽しさに直結するでしょう。
ものづくりの醍醐味を味わえる
マーチャンダイザーは単なる販売戦略の立案者ではなく、商品開発の最前線で活躍します。デザイナーやパタンナーと協力しながら、ゼロからアイデアを形にし、それが工場で大量生産され、店舗に並ぶまでの一連の流れに関わります。この過程で、さまざまな交渉や調整が必要となりますが、その分、商品が完成した時の達成感は非常に大きいものです。また、アパレル業界では支援体制が整っており、経験を積めばより幅広いジャンルの商品企画にも挑戦できます。自らのスキルを磨き、より多くの消費者に魅力的なアイテムを届けることで、マーチャンダイザーとしてのキャリアを高めていくことが可能です。
7、マーチャンダイザーの仕事まとめ
マーチャンダイザーは高い専門性と幅広いスキルが求められる職種のため、未経験からいきなり就くのは難しいのが現状です。マーチャンダイザーになるためには、ショップスタッフ(アパレル販売員)や店長、本社の関連業務、MDアシスタントなどの経験を積むルートが一般的です。
多くの企業では、社内で実績を積みその貢献が評価された人材がマーチャンダイザーに就任するケースや、中途採用で経験者が採用されるケースが主流です。そのため、まずはマーケティング・販売戦略・商品企画といったスキルを他の職種で身につけておくことが重要になります。
マーチャンダイザーはブランドの方向性を決定し、トレンドを生み出す魅力的な職業です。ファッション業界でのキャリアアップを目指すなら、ファッションビジネスの知識や経営スキルを学びつつ、現場経験を活かせる道を選ぶのが効果的でしょう。マーチャンダイザーの仕事は、ブランドの売り上げを左右する重要なポジションです。責任が重い一方、ブランドを自身の力で成長させる醍醐味を感じられる仕事と言えるでしょう。
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