名古屋嬢？名古屋巻き？名古屋ファッションのナゾ

首都圏と関西圏のほぼ中央にありながら、中京という独自の文化圏を持つ大都市・名古屋。
生活習慣や食文化でも独特のスタイルを守り続けています。もちろんそれはファッションも同様。名古屋女性のファッションセンスや価値観を学べば、コーディネートにも強烈な個性を主張できるようになるかもしれません。
そこで今回は「名古屋嬢」と「名古屋巻き」という2つのキーワードに焦点を絞ってお話しましょう。

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名古屋嬢はファッションではなくステイタスだった
名古屋名物の「名古屋城」とのゴロあわせで全国的に知られるようになった「名古屋嬢」。
ファッションに興味がない人にでもあきらかに”高級”とわかるラグジュアリーブランドで全身を固め、少なくとも1ヶ所は金色に光るアイテムを取り入れること。ただし全体的に派手な色使いはNG。シックにまとめるのが基本です。髪はもちろん名古屋巻きに盛り、メイクは目力をポイントに。
…と、ここまでが世間で知られている名古屋嬢のイメージでしょう。
なぜ名古屋の女性は名古屋嬢にあこがれるのでしょうか。実は、そのヒミツはファッションではなく「ステイタス」にありました。

本物の名古屋嬢とは、良家の箱入り娘のことです。本人はもちろん、両親もお金の苦労をしたことがない、またお金を稼ぐための努力をしたことがないというような身分であることが条件。このような身元の子女は、普通にいいなと思って着ている服がブランド物であり、働く必要もないから美容院やエステで潤沢に時間とお金を使う。お金持ちの男性をつかまえる必要もないから（容姿・資産ともに恵まれた相手との縁談を周囲が整えてくれるから）男性のために努力をせず、自分の趣味や教養に磨きをかけるということになります。その結果、自然に名古屋嬢が完成するというわけです。
努力してなれるものではない名古屋嬢。だからこそ名古屋の女性は名古屋嬢に憧れ、少しでも近づこうとするのでしょう。


「名古屋巻き」にみる名古屋の価値観
名古屋巻きとは、ゆったりカールのかかったロングヘアーのこと。今はさまざまなアレンジメントがありますが、基本はストレートパーマをかけたあとでレイヤーカットをし、毛先に段をつけてからカールします。また肩下は縦の内巻きが基本ですが、毛先にアクセントをつけるために複雑な巻き方にすることもあります。ふわっとしていてフェミニンで、しかもゴージャス。まさに名古屋嬢にふさわしいヘアスタイルといえるでしょう。
ところでこの名古屋巻き、見た目は軽やかですが、実はこのヘアスタイルは維持するのが大変で、毎日それなりの量のヘアスプレーを使用します。巻き方にもコツがあり、毎日のスタイリングにも時間がかかります。つまり、会社勤めなどで忙しい女性に維持できるような髪型ではないというのが現実です。
「優雅にみえる白鳥も水面下では必死に水をかいている」という故事を思い出しますが、名古屋巻きからは「私は生活のためにアクセク働いたりする女性じゃないのよ」という名古屋女性のプライド、そして名古屋人が理想とする女性像が伝わってくるような気がします。

派手でゴージャスが好きと思われがちな名古屋女性。
しかし実は「家」や「格」という古風な価値観をしっかり受け継ぐ、古風で伝統的な女性が多いということなのかもしれません。特に名古屋ファッションの中心である栄では、多くの名古屋嬢を目撃することができるはずです。多くのブランド店や百貨店が連なる通りを歩きながら、彼女たちが抱く女性像を頭に描いてみてはいかがでしょうか。

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