転職ノウハウ | 6月19日

<2026年>障がい者の法定雇用率は2.7%へ!ファッション業界でも増加する障がい者雇用

障がい者の法定雇用率は毎年段階的に引き上げられており、2026年には2.7%まで引き上げられます!
それに伴い、ファッション業界でも増加している障がい者雇用について解説します。

1, 障がい者法定雇用率の最新状況(2024–2026年度)



■ 法定雇用率の引き上げの流れ
障害者雇用促進法により、企業は常用雇用者の一定割合を障がい者で構成する義務があります。
その法定雇用率は段階的に引き上げられており、最新の改定は以下の通りです。

<民間企業の法定雇用率>

▶︎2024年(令和6年)3月末まで
2.3%(43.5人以上の企業に雇用義務が発生)

▶︎2024年(令和6年)4月〜2026年(令和8年)6月末まで
2.5%(40人以上の企業に雇用義務が発生)

▶︎2026年(令和8年)7月以降(予定)
2.7%(40人以上の企業に雇用義務が発生)
※国・地方公共団体など一定の特殊法人、教育委員会の法定雇用率は別途定められています。
つまり、会社の従業員数が50人の場合は1人、100人なら2人、500人なら10人は障がい者を雇用する義務があるということです。
(小数点以下は切り捨て)

■ 除外率制度の縮小・廃止
一部業種(建設業、鉱業など)では、従来「除外率制度」により、法定雇用率算定対象の従業員数を減らすことができました。
しかしこれは段階的に縮小されており、2025年4月には一律10ポイントの引き下げがおこなわれました。

出典:https://www.mhlw.go.jp/content/001064502.pdf?_fsi=QTieBakU&_fsi=QTieBakU

2, 法定雇用率を満たさない企業に科せられる3つの罰則(ペナルティー)



定められた法定雇用率を達成できない場合は以下のペナルティを課せられます。

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(1)納付金を支払わなければならない(常用労働者100人超の企業)
(2)ハローワークから行政指導・計画書提出命令が入る
(3)改善されなければ、企業名が公表されてしまう
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(1)納付金を支払わなければならない(常用労働者100人超の企業)
障がい者の法定雇用率が未達成の場合(※常用労働者が100人を超える場合)は、不足する障がい者数に応じて1人につき 月額5万円の「障害者雇用納付金」を納付しなければなりません。

例)
常用労働者が200人の企業の場合、最低5人の障がい者雇用が必要なところ雇用が0人の場合、不足する障がい者数は5人なので、月額5万円×5人=月額25万円の納付金を納める必要があります。
※常用労働者とは、1週間の所定労働時間が20時間以上、かつ、1年を超えて雇用されている労働者のことをいいます。

(2)ハローワークから行政指導・計画書提出命令が入る
障がい者の法定雇用率を下回った場合、ハローワークから行政指導が入ります。
まずは、法定雇用率を達成するための「障がい者の雇入れに関する計画」作成を命じられ、2年間の期間の雇用計画を提出する必要があります。その後計画に沿って雇用が進んでいるかの確認がおこなわれ、計画の実施を行っていないと判断された場合には、適正な実施を勧告されます。
また、実雇用率が全国平均よりも下回っている場合や不足数が10人以上の場合には、「特別指導」の対象となってしまいます。

(3)改善されなければ、企業名が公表されてしまう
9カ月間の「特別指導」をもってしても法定雇用率を達成できない企業は、障害者雇用促進法第47条に基づいて、企業名や本社所在地、代表者名が広く公表されてしまいます。
例えば、2023年3月に厚生労働省から出されたプレスリリースでは、改善が見られない企業5社(うち3社は再公表)が公表されました。

参考:障がい者の雇用の促進等に関する法律に基づく企業名公表について

法定雇用率を守らず企業名を公表されると

『再三の勧告にもかかわらず障害者雇用促進法を守らなかったブランド』

として世間から悪いイメージで見られてしまう恐れがあります。
取引先やブランドのファンからの信用を失ったり、働く従業員のモチベーションが低下しかねない可能性もあるので絶対に避けたい事態です。

3, アパレル業界の障がい者雇用:モデルケースと現状



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障がい者雇用のモデルケース
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▶︎ファーストリテイリング(ユニクロ・ジーユー)
UNIQRO、GUを展開するファーストリテイリングは、障がい者雇用を2001年から本格導入し、店舗ごとに「1店舗1名以上」の正社員雇用の目標を掲げて約8割の店舗で達成しています。
また、2021年度には法定雇用率2.3%に対し、4.6%という高水準を達成しています。

職場環境:特例子会社に頼らず一般店舗内での直接雇用・正規業務参画
業務内容:バックヤード(裾上げ、検品など)や店舗販売補助など個々の特性に応じた職務設計
支援体制:応募時に「就労パスポート」などの提出を約し障がいの特性に基づく合理的配慮を実施

出典:https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2022/66910?utm_source=chatgpt.com

▶︎トゥモローランド
セレクトショップのトゥモローランドでも、障がいの有無に関係なく共に働く環境を整え、各店舗・本社それぞれで多数の障がい者雇用の実績があります。

・販売スタッフとして同じ人事制度下で活躍
・時短勤務など柔軟なシフト調整、従業員割引などの魅力的な条件も提示
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アパレル業界における強みと課題
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<強み>
■ 多様な職種展開
販売だけでなく、検品・物流など障がい者の適性に応じた職務を提供しやすい

■ 全国展開店舗による配置可能性
地域のニーズに応じた配置と分散雇用がしやすい構造

■ 合理的配慮のしやすさ
試用時間の延長やメンタルサポートの実施などが可能

<課題>
■ 現行法定雇用率未達成企業多数
業界全体では達成率約46%で2.5%の水準にも多くが達してない

■ 少人数店舗での受け入れの難しさ
シフト制で少人数の場合は寄り添った対応が難しい

■ 接客業における体力的・精神的な負担が大きい
立ち仕事で体力的に厳しくさまざまなお客様と接客する精神的負担が大きい

4, まとめ



障害者法定雇用率を達成している企業はまだまだ少ない状況と言えるでしょう。
そんななか、アパレル業界は多様な事業モデルと現場型配置を通じて、数値面でも質の面でも業界をリードする存在となれる可能性が高いと思います。
2026年以降の新しい義務化時代に向け、「アパレル×障がい者雇用」モデルを業種の垣根を超えて社会全体に広めることが求められます。


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